福音ラジオ 第四十一回『シオン』

目次

導入

みなさんこんばんは、かいです!

聴いてくださっている皆さんに感謝します。

ありがとうございます。

わたしたち末日聖徒イエス・キリスト教会の会員は、主からひとつの勧告を受けています。

これは現在の会員のみならず、古代から同じような勧告を受けていました。

それは、『シオンを築くこと』です。

シオンとはいったい何なのか、なぜわたしたちはこの勧告に従うのかをお話しします。

祈りのススメ

この記事内にはわたしたちが所属する末日聖徒イエス・キリスト教会の聖典である新約、旧約の聖書とモルモン書、教義と聖約、高価な真珠の中から聖句を引用しています。

また総大会と呼ばれる教会指導者たちの勧告などのお話からも引用する場合があります。

クリスチャンである方もそうでない方も、聖句を読むとき、以下のことに注意を払っていただけましたら幸いです。

『見よ、わたしはあなたがたに勧めたい。あなたがたにとってこの記録を読むことが、神の知恵にかなうようであれば、あなたがたはこれを読むときに、アダムが造られてからあなたがたがこれを受けるときまで、主が人の子らにどれほど憐れみをかけてこられたかを思い起こし、それを心の中で深く考えてほしい。

また、この記録を受ける時、これが真実かどうかキリストの名によって永遠の父なる神に問うように、あなたがたに勧めたい。もしキリストを信じながら、誠心誠意問うならば、神はこれが真実であることを、聖霊の力によってあなたがたに明らかにしてくださる。

そして聖霊の力によって、あなたがたはすべてのことの真理を知るであろう。』

(『モロナイ書』第10章3節〜5節)

シオンとは

『シオン』とは、心の清い人々が住む所という意味のほか、『心の清い者』という意味があります。

聖典にはシオンという言葉が度々出てきます。

『さて見よ、シオンがこれらのことを行うならば、シオンは栄え、自らを広げ、非常に栄光に満ちた、きわめて大いなる、そして甚だ恐ろしいものとなるであろう。

そして、地のもろもろの国民はシオンを尊び、言うであろう。「確かにシオンは我々の神の都であり、また、確かにシオンは倒れることも、その場所から移されることもあり得ない。神がそこにおられ、主の御手がそこにあるからである。

主はシオンの救いとなりシオンの高いやぐらになると、その強い力によって誓われた。」

それゆえ、主はこのように言う。まことに、シオンを喜ばせなさい。心の清い者、これこそシオンである。それゆえ、シオンを喜ばせなさい。一方、悪人は皆嘆き悲しむであろう。』

(『教義と聖約』第97章18節〜21節)

旧約聖書にあるシオンという名称

旧約聖書にもシオンという言葉は登場します。

ダビデの町はシオンと呼ばれていました。

『ソロモンは主の契約の箱をダビデの町、すなわちシオンからかつぎ上ろうとして、イスラエルの長老たちと、すべての部族のかしらたちと、イスラエルの人々の氏族の長たちをエルサレムでソロモン王のもとに召し集めた。』

(『列王記上』第8章1節)

またイザヤ書にもシオンの名が登場します。

『終わりの日に次のことが起る。主の家の山は、もろもろの山のかしらとして堅く立ち、もろもろの峰よりも高くそびえ、すべて国はこれに流れてき、

多くの民は来て言う、「さあ、われわれは主の山に登り、ヤコブの神の家へ行こう。彼はその道をわれわれに教えられる、われわれはその道に歩もう」と。律法はシオンから出、主の言葉はエルサレムから出るからである。

彼はもろもろの国のあいだにさばきを行い、多くの民のために仲裁に立たれる。こうして彼らはそのつるぎを打ちかえて、すきとし、そのやりを打ちかえて、かまとし、国は国にむかって、つるぎをあげず、彼らはもはや戦いのことを学ばない。』

(『イザヤ書』第2章2節〜4節)

イザヤは主から末日、つまり現代の教会が築いている多くの神殿とイスラエルの集合、そして福千年の裁きの様子を見せられました。

わたしたちの教会で聖典のひとつとされている『モルモン書』には、『ニーファイ書』という書物が収められてあります。

エジプトに売られたヨセフの子孫にあたるニーファイという人物が、紀元前約600年に入手した、純粋なままのイザヤ書の一部がその中に引用されています。

上に引用したのと同じ部分をニーファイ書から引用します。

『さて、終わりの時に次のことが起こる。主の家の山は山々の頂に堅く立ち、もろもろの丘よりも高くそびえ、すべての国民はそこに流れて来る。

多くの民が来て言う。「さあ、わたしたちは主の山に登り、ヤコブの神の家へ行こう。主はご自分の道をわたしたちに教えてくださる。わたしたちは主の道を歩もう。」律法はシオンから出、主の言葉はエルサレムから出るからである。

主は国民の中で裁きを行い、多くの人を責められる。彼らは剣を鋤先に、槍を鎌に打ち直し、国民は国民に向かって剣を上げず、彼らはもう戦いのことを学ばない。』

(『ニーファイ第二書』第12章2節〜4節)

かつて存在したシオン

旧約の時代を生きた預言者のひとりであるエノクは、この世でシオンを築き、その民を導きました。

エノクの名前とその記録は聖書にありますが、決して多くはありません。

ですが彼の功績は記録の少なさとは異なり、大いなるものです。

『ヤレドは百六十二歳になって、エノクを生んだ。

エノクは六十五歳になって、メトセラを生んだ。

エノクはメトセラを生んだ後、三百年、神とともに歩み、男子と女子を生んだ。

エノクの年は合わせて三百六十五歳であった。

エノクは神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった。』

(『創世記』第5章18節、20節〜24節)

最後の節でエノクは『神が取られたのでいなくなった』とあります。

このことについて、新約聖書にも記されています。

『信仰によって、エノクは死を見ないように天に移された。神がお移しになったので、彼は見えなくなった。彼が移される前に、神に喜ばれた者と、あかしされていたからである。』

(『ヘブル人への手紙』第11章5節)

預言者の中には、神によって死を制する力を与えられた者が複数います。

彼らはその信仰によって選ばれ、死を免れることでさらに神に使え、なすべきことを与えられます。

エノクもそういった人のひとりです。

エノクとシオンに住むその民は、義のゆえに神によって天へと上げられました。

黙示録を記したヨハネもまた、主が来られる時まで死を味わうことがないと記されています。

エノクの記録

シオンについてお話しする前に、預言者エノクについての記録を紹介します。

前述のように、聖書にはエノクについてほとんど記されていないのですが、『高価な真珠』と名付けられたわたしたちの教会の聖典には彼についての記録が載せられています。

かなり長くなりますが彼の記録は貴重ですので、その全てを引用します。

『ヤレドは百六十二歳になって、エノクをもうけた。ヤレドはエノクをもうけた後、八百年生きて、息子、娘たちをもうけた。ヤレドはエノクに神の道をすべて教えた。

エノクは六十五歳になって、メトセラをもうけた。

そして、エノクは地の上を行き、民の中を旅した。彼が旅をしていると、神の御霊が天から降り、彼のうえにとどまった。

そして、彼は天から声が告げられるのを聞いた。「わたしの子エノクよ、この民に預言し、彼らに言いなさい。『悔い改めなさい。主は次のように言われるからです。「わたしはこの民のことを怒っており、わたしの激しい怒りは彼らに向かって燃えている。彼らの心はかたくなになり、その耳は聞こえにくく、その目は遠くを見ることができない。

わたしが彼らを造った日以来、多くの世代にわたって、彼らは迷い、わたしを否定し、闇の中で自分の知恵を求め、彼らの忌まわしい行いの中で殺人を企て、わたしが彼らの先祖アダムに与えた戒めを守ってこなかった。

それゆえ、彼らは偽りの誓いを立て、その誓いによって自らに死を招いてきた。彼らが悔い改めなければ、わたしは彼らのために地獄を用意している。

これは、わたしが世の初めに、わたし自身の口から、しかも世の初めから送り出してきた定めである。そして、それが将来世の中に送り出されるように、あなたの先祖であるわたしの僕たちの口を通して、わたしはそれを地の果てまで布告してきたのである」と。』」

エノクはこれらの御言葉を聞いたとき、主の前で地に伏し、主の前に語って言った。「わたしがあなたの目にかなったのはなぜでしょうか。わたしは若者にすぎず、すべての人はわたしを憎みます。わたしは口の重い者だからです。どうしてわたしはあなたの僕なのでしょうか。」

主はエノクに言われた。「行って、わたしがあなたに命じたように行いなさい。そうすれば、あなたを差し貫く者は誰もいないであろう。あなたの口を開きなさい。そうすれば、それは満たされるであろう。わたしはあなたに語る力を与えよう。すべての肉なるものはわたしの手の内にあるからである。そして、わたしは自分が良いと思うままに行おう。

この民に、『あなたがたは今日、あなたがたを造られた主なる神に使えることを選びなさい』と言いなさい。

見よ、わたしの御霊があなたの上にあるので、あなたのすべての言葉を、わたしは正しいとする。

山々はあなたの前から逃げ去り、川はその流れを変えるであろう。あなたはわたしにつながっていなさい。そうすれば、わたしはあなたとつながっていよう。それゆえ、わたしとともに歩みなさい。」

主はエノクに語って言われた。「あなたの目に泥を塗り、それを洗いなさい。そうすれば、あなたは見るであろう。」そこで、彼はそうした。

そして、彼は神が造られた霊たちを見た。彼はまた肉体の目に見えないものも見た。それ以来、「主はその民のために、一人の聖見者を立てられた」という言葉がその地に広まった。

さて、エノクはその地の人々の中に出て行き、もろもろの丘と高い所に立って、大声で叫び、彼らの行いを責める証を述べた。すると、すべての人が彼に腹を立てた。

彼らは彼の言葉を聞くために高い所に出て来て、天幕を守る者たちに言った。「あなたがたはここにとどまって、天幕を守っていなさい。その間に、我々はあそこへ行って聖見者を見てくる。彼は預言をする。この地に変わったことがある。野生の男が我々の中にやって来たのだ。」

さて、彼の言葉を聞いたとき、彼に手を出す者はだれ一人いなかった。彼の言葉を聞いたすべての者に、恐れが及んだためである。彼が神とともに歩んだからである。

彼のもとに、その名をマヒヤという一人の男がやって来て言った。「あなたはだれで、どこから来たのか、はっきりと言ってください。」

そこで、彼は彼らに言った。「先祖の地であり、今日まで義の地である カイナンの地からやって来ました。わたしの父はわたしに神の道をすべて教えてくれました。

そして、カイナンの地から東の海沿いに旅をしていたとき、わたしは示現を見ました。まことに、天を見ました。そして、主はわたしと語り、わたしに命を下されました。この理由で、すなわちその命に従うために、わたしはこれらの言葉を語っているのです。」

エノクはその話を続けて言った。「わたしと語られた主は、天の神です。わたしの神であり、またあなたがたの神です。あなたがたはわたしの兄弟です。どうしてあなたがたは自分で自分に勧めをして、天の神を否定するのですか。

神は天を造られ、地は神の足台であり、地の基は神のものです。まことに、神はそれを据えられ、地の面に大勢の人をもたらされました。

死はわたしたちの先祖に及びました。それでも、わたしたちは彼らを知っており、否定することはできません。まことに、わたしたちはすべての中の最初の人、アダムさえも知っています。

わたしたちは、神の指によって示された手本に従って、わたしたちの中で覚えの書を記してきたからです。それはわたしたちの言葉で述べられています。」

エノクが神の言葉を語ると、民はおののき、彼の前に立っていることができなかった。

エノクは彼らに言った。「アダムが堕落したので、わたしたちは存在しています。そして、アダムの堕落によって死が生じ、わたしたちは不幸と災いを受ける者とされているのです。

まことに、サタンは人の子らの中にやって来て、彼を拝むように誘惑します。そして、人々は肉欲や官能におぼれ、悪魔に従う者となって、神の御前から締め出されています。

しかし、神はわたしたちの先祖に、すべての人が悔い改めなければならないことをお知らせになりました。

神は御自身の声によって、わたしたちの先祖アダムに呼びかけて言われました。『わたしは神である。わたしは世界を造り、また人々を、彼らが肉体にある前に造った。』

神はまた彼に言われました。『あなたがわたしに心を向け、わたしの声を聴き、そして信じ、あなたのすべての背きを悔い改め、まことに水の中で、恵みと真理に満ちている独り子、すなわちイエス・キリストの名によって、すなわちその名によって人の子らに救いが及ぶ、天下に与えられる唯一の名によってバプテスマを受けるならば、あなたは聖霊の賜物を受けるであろう。すべてのものをその名によって求めれば、何でも求めるものはあなたに与えられるであろう。』

わたしたち​の​先祖アダム​は、主​に​語って、『人​が​悔い改めて​水の​中で​バプテスマ​を​受け​なければ​ならない​の​は、なぜ​でしょう​か』​と​尋ね​ました。すると、主は​アダム​に、『見よ、わたし​は​エデン​の​園​で​の​あなた​の​背き​を​赦した』​と​言われ​ました。

この​こと​から、『神の​御子は​最初​の​とが​を​贖われ、それ​に​よって​両親の​罪​が​その​子供たち​の​頭​に​帰する​こと​は​あり得ない。彼ら​は​世​の​初め​から​罪​が​ない』​と​いう​言葉が​人々​の​間​に​広まり​ました。

主は​アダム​に​語って​言われ​ました。『あなた​の​子供たち​は​罪​の​うち​に​宿される​ので、まことに​彼ら​が​成長​し​始める​と、彼ら​の​心の​中​に​罪が​宿る。そして、彼ら​は​善を​尊ぶ​こと​を​知る​ため​に、苦さ​を​味わう​の​で​ある。

そして、善悪を​知る​こと​が​彼ら​に​許される。それゆえ、彼ら​は​自ら​選択​し​行動する​者で​ある。そこで、わたし​は​あなた​に​別​の​律法と​戒め​を​与えた。

それゆえ、あなた​の​子供たち​に​次の​こと​を​教え​なさい。すなわち、どこ​に​いる​人​で​も​すべて​の​人​が、悔い改め​なければ​ならない。そう​しなければ、決して​神​の​王国を​受け継ぐ​こと​は​できない。清くない​者は​そこ​に​住む​こと​が​できない、すなわち、神​の​前​に​住む​こと​が​できない​から​で​ある。アダム​の​言葉で、聖なる​人​と​は​神の​名で​ある。また、神の​独り子の​名​は、人の​子、すなわち​イエス・​キリスト​で​あり、時​の​中間​に​来る​義​に​かなった​裁き主​で​ある。

さて、わたし​は​あなた​に​戒め​を​与える。あなた​の​子供たち​に​次の​こと​を​率直に​教え​なさい。すなわち、

背き​に​よって​堕落​が​生じ、その​堕落​が​死を​もたらす。あなたがた​は​水​と​血と、わたし​が​造った​霊​と​に​よって​この世に​生まれ、ちり​から​生ける​もの​と​なった​ので、まことに​あなたがた​は、水と​御霊​に​よって​再び​天の​王国​に​生まれ、血​に​よって、すなわち​わたし​の​独り子の​血​に​よって​清く​され​なければ​ならない。それ​は、あなたがた​が​すべて​の​罪​から​聖められ、この世​に​おいて​永遠​の​命​の​言葉​を​享受​し、来たる​べき​世に​おいて​永遠の​命、すなわち​不死不滅​の​栄光を​享受​する​ため​で​ある。

それ​は、あなたがた​が​水​に​よって​戒め​を​守り、御霊​に​よって​義​と​され、血​に​よって​聖められる​から​で​ある。

それゆえ、天の​記録、慰め主、不死不滅​の​栄光​の​平和​なる​こと、すべて​の​もの​の​真理、すべて​の​もの​を​生かし​活気づける​もの、すべて​の​こと​を​知って​おり、知恵と​憐れみ​と​真理と​公正と​公平に​よって​一切の​権威を​持つ​もの​が​授けられて、あなたがた​の​内に​とどまる。

さて​見よ、わたし​は​あなた​に​言う。これ​が、時​の​中間​に​来る​わたし​の​独り子の​血に​よって​すべて​の​人に​与えられる​救い​の​計画で​ある。

見よ、すべて​の​もの​に​は​それ​に​似た​もの​が​ある。すべて​の​もの​は、現世​に​かかわる​もの​も​霊​に​かかわる​もの​も、わたし​の​こと​を​証​する​ため​に​創造​され、造られて​いる。すなわち、上の​天に​ある​もの、地​の​上に​ある​もの、地​の​中に​ある​もの、地の​下​に​ある​もの、上の​もの​も​下の​もの​も、すべて​の​もの​が​わたし​の​こと​を​証​する​の​で​ある。』

この​よう​に​主​が​わたしたち​の​先祖アダム​と​語られた​とき、アダム​は​主に​叫び​求め​ました。すると、彼は​主の​御霊に​連れ​去られ、水​の​中に​運ばれ、水​に​沈められ、そして​水から​連れ出され​ました。

​この​よう​に​して、彼は​バプテスマ​を​受け、神​の​御霊が​彼に​降られ​ました。この​よう​に​して、彼​は​御霊​に​よって​生まれ、内​なる​人​に​おいて​生かされた​者​と​なった​の​です。

そして、彼​は​天から​の​声​が​告げられる​の​を​聞き​ました。『あなた​は​火と​聖霊に​よって​バプテスマ​を​受けた。これ​は​今から​後​とこしえ​に、父​と​子の​証​で​ある。

あなた​は、永遠から​永遠に​わたって、日の​初め​も​なく​年の​終わり​も​ない​者の​位​に​従う​者で​ある。

見よ、あなた​は​わたし​に​あって​一つ​で​あり、神​の​子​で​ある。この​よう​に​して、すべて​の​者は​わたし​の​子と​なる​こと​が​できる​の​で​ある。アーメン。』」

また、エノク​は​その​話を​続けて​言った。「まことに、わたしたち​の​先祖アダム​は​これら​の​こと​を​教え​ました。すると、多く​の​者は​信じて​神​の​子と​なり​ました​が、信じないで​罪​の​中​に​滅びた​者も​大勢​いました。彼ら​は​今、苦しみ​の​中​で​恐れ​ながら、火の​よう​な​神の​激しい​怒り​が​自分たち​に​注がれる​の​を​待って​います。」

その​とき​から、エノク​は​預言​し​始めて、民に​言った。「わたし​が​旅​の​途中​に、マフヤ​と​いう​所​に​立って​主​に​叫び​求める​と、天から、『あなた​は​引き返して、シメオン​の​山に​登り​なさい』​と​いう​御​声​が​あり​ました。

​そこで、わたし​は​引き返して、その​山に​登り​ました。そして、その​山​に​立つ​と、わたし​は​天​が​開く​の​を​見て、栄光に​包まれ​ました。

わたし​は​主​に​まみえ​ました。主​は​わたし​の​前​に​立ち、顔と​顔を​合わせて、人が​互いに​語り合う​よう​に​わたし​と​語られ​ました。そして、主​は​わたし​に​言われ​ました。『見​なさい。そう​すれ​ば、わたし​は​あなた​に​この世​を​多く​の​世代に​わたって​見せよう。』

それから、わたし​は​シュム​の​谷に、まことに​天幕に​住む​多く​の​人を​見​ました。それ​は​シュム​の​民​でした。

​主​は​再び​わたし​に、『見​なさい』​と​言われ​ました。そこで、わたし​が​北​の​方​を​眺める​と、天幕​に​住む​カナン​の​民が​見え​ました。

​主​は​わたし​に、『預言しなさい』​と​言われました。そこで、わたし​は​預言して​言い​ました。『見よ、大勢の​カナン​の​民​が​シュム​の​民​に​対して​陣立て​を​して​出て​行き、彼ら​を​殺して、ことごとく​滅ぼす​で​あろう。そして、カナン​の​民は​その​地​で​分かれて、その​地​は​実を​結ばない​不毛の​所​と​なり、カナン​の​民​の​ほか​に​いかなる​民​も​そこ​に​住む​こと​は​ない。

見みよ、主​は​ひどい​暑さ​を​もって​その​地を​のろわれ、その​不毛は​とこしえ​に​続く​で​あろう。』​そして、カナン​の​すべて​の​子ら​の​うえ​に​暗黒​が​及んだ​ので、彼ら​は​すべて​の​民の​中​で​さげすまれ​ました。

また、主​は​わたし​に、『見なさい』​と​言われ​ました。そこで、わたし​が​眺める​と、シャロン​の​地と、エノク​の​地と、オムナー​の​地と、ヘニ​の​地と、セム​の​地​と、ハネル​の​地​と、ハナニハ​の​地と、その​すべて​の​住民が​見え​ました。

すると、主​は​わたし​に​言われ​ました。『この​民​の​ところ​へ​行って、「悔い改めよ」と​言い​なさい。わたし​が​出て​行って、のろい​を​もって​彼ら​を​打ち、彼ら​が​死ぬ​こと​の​ない​ため​で​ある。』

そして​主​は、御父と、恵み​と​真理に​満ちて​おられる​御子と、御父​と​御子の​こと​を​証される​聖霊​と​の​御名​に​よって​バプテスマ​を​施す​よう​に​と​の​戒め​を​わたし​に​与えられ​ました。」

それから​エノク​は、カナン​の​民​を​除く​すべて​の​民に、悔い改める​よう​に​呼びかけ​続けた。

エノク​の​信仰は​非常​に​深かった​ので、彼​は​神​の​民​を​導いた​が、敵​が​彼ら​と​戦おう​と​して​攻めて​来た。そこで、彼​が​主​の​言葉​を​語る​と、まことに​彼​の​命​に​従って、地​は​揺れ​動き、山々​は​逃げ​去った。水の​流れる​川​は​その​流れ​を​変え、ライオン​の​ほえる​声​が​荒野から​聞こえた。そして、すべて​の​民族​が​大いに​恐れた。それほど​エノク​の​言葉は​力強く、また、それほど​神が​彼​に​与えられた​言葉の​力​は​大いなる​もの​で​あった。

また、海​の​深み​から​一つ​の​陸​が​出てきた。神の​民​の​敵​は​大いに​恐れた​ので、逃れて​遠く​離れて​立ち、海の​深み​から​出てきた​陸​に​上がった。

その​地​の​巨人たち​も​遠く​離れて​立った。そして、神​に​逆らって​戦った​すべて​の​民​に​のろい​が​下った。

その​とき​から、彼ら​の​中に​戦争​と​流血が​あった。しかし、主​は​来て、主​の​民​と​ともに​住まわれた。そして、彼ら​は​義​の​うち​に​住んだ。

主​へ​の​畏れ​が​すべて​の​民族​に​あった。それほど​主​の​民​の​うえ​に​ある​主​の​栄光​は​大いなる​もの​で​あった。主は​その​地を​祝福​され、彼ら​は​山々​の​上と​高い​所​で​祝福​されて、まことに​栄えた。

​主は​その​民​を​シオン​と​呼ばれた。彼ら​が​心を​一つ​に​し、思い​を​一つ​に​し、義の​うち​に​住んだ​から​で​ある。そして、彼ら​の​中​に​貧しい​者は​いなかった。

エノク​は、義を​もって​神​の​民​に​教え​を​説き​続けた。そして、その​生涯​に、彼は​一つ​の​町を​建て、それ​は​聖​なる​都、すなわち​シオン​と​呼ばれた。

さて、エノク​は​主​と​ともに​語り、主に​言った。「必ずや、シオン​は​とこしえ​に​平穏に​住む​こと​でしょう。」しかし、主​は​エノク​に​言われた。「わたし​は​シオン​を​祝福​した​が、民​の​残り​の​者​を​のろった。」

さて、主は​エノク​に、地に​住む​すべて​の​者を​見せられた。彼​は​まことに、時​が​たって​シオン​が​天​に​取り上げられる​の​を​見た。また、主​は​エノク​に、「とこしえ​に​わたし​の​住まい​を​見なさい」と​言われた。

エノク​は​また、アダム​の​子ら​で​ある​民​の​残り​の​者​も​見た。彼ら​は、カイン​の​子孫​を​除く​アダム​の​すべて​の​子孫の​混り​合った​者​で​あった。カイン​の​子孫​は​肌が​黒く、彼ら​の​中に​いる​べき​場所​が​なかった​から​で​ある。

​その​シオン​が​天​に​取り上げられた​後、エノク​は、まことに、地の​すべて​の​民族が​彼の​前​に​ある​の​を​見た。

そして、何​世代​か​が​過ぎ、エノク​は​高く​上げられ、まことに、御父​と​人​の​子の​懐に​いた。そして、見よ、サタン​の​力が​地​の​全面に​あった。

また、彼は天使たちが天から降るのを見た。そして、彼は大きな​声​が、「災い​で​ある。地に​住む​者​は​災い​で​ある」と​告げる​の​を​聞いた。

また、彼は​サタン​を​見た。サタン​は​その​手に​大きな​鎖​を​持ち、それ​は​地の​全面​を​闇で​覆った。サタン​は​見上げて​笑い、その​使い​ども​は​喜んだ。

エノク​は​また、天使​たち​が​天から​降って、御父と​御子の​こと​を​証​する​の​を​見た。聖霊​が​多く​の​者に​降られ、彼ら​は​天​の​力に​よって​シオン​に​連れ​去られた。

すると、天の神が民の残りの者を見て泣かれた。エノクはその​こと​を​証​して​言った。「どうして​天が​泣き、雨が​山々に​降り注ぐ​よう​に​その​涙​を​流す​の​です​か。」

また、エノク​は​主​に​言った。「あなた​は、永遠​から​永遠​に​わたって​聖なる​御方​で​ある​の​に、どうして​泣く​こと​が​お​でき​に​なる​の​です​か。

人ひと​が​地​の​微粒子、まことに​この​地球​の​よう​な​幾百万​の​地球​を​数える​こと​が​できた​と​して​も、それ​は​あなた​が​創造​された​もの​の​数の​始め​に​も​至り​ません。あなた​の​とばり​は​今​なお​広がって​います。それでも、あなた​は​そこ​に​おられ、あなた​の​懐​は​そこ​に​あり​ます。また、あなた​は​公正な​御方​です。とこしえ​に​憐れみ​深く、思いやり​の​深い​御方です。

あなた​は​御自分​が​創造​された​すべて​の​もの​の​中​から、永遠から​永遠​に​わたって、シオン​を​御​自分​の​懐​に​取り去られ​ました。あなた​の​御座の​ある​所​に​は、ただ​平安​と​公正​と​真理​だけ​が​あり​ます。憐れみ​は​あなた​の​前​を​進み、終わり​が​あり​ません。どうして​あなた​は​泣く​こと​が​お​でき​に​なる​の​です​か。」

主は​エノク​に​言われた。「これら​あなた​の​兄弟たち​を​見​なさい。彼ら​は​わたし​自身​の​手​で​造られた​もの​で​ある。わたし​は​彼ら​を​創造した​日に、彼ら​に​知識​を​与えた。また、エデン​の​園​で​人に​選択​の​自由を​与えた。

わたし​は​あなた​の​兄弟​たち​に​語って、互いに​愛し​合う​よう​に、また​父で​ある​わたし​を​選ぶ​よう​に​と​いう​戒め​も​与えた。ところが​見よ、彼ら​は​愛情​が​なく、自分​の​血族を​憎んで​いる。

わたし​の​憤り​の​火​は​彼ら​に​向って​燃えて​いる。わたし​は​激しい​憤り​を​もって、彼ら​に​洪水​を​送ろう。わたし​の​激しい​怒り​が​彼ら​に​向かって​燃えて​いる​から​で​ある。

見よ、わたし​は​神で​ある。聖​なる​人​と​は​わたし​の​名​で​ある。賢慮​の​人​と​は​わたし​の​名で​あり、無窮​も​永遠​も​わたし​の​名で​ある。

それゆえ、わたし​は​手​を​伸ばして、わたし​が​造った​すべて​の​創造​物​を​手​に​取る​こと​が​できる。また、わたし​の​目​は​それら​を​貫く​こと​も​できる​が、わたし​の​手で​造られた​すべて​の​もの​の​中​で、あなた​の​兄弟たち​の​中​に​ある​よう​な​大きな​悪事​の​あった​こと​は​ない。

しかし​見よ、彼ら​の​罪​は​その​先祖​の​頭​に​ある。サタン​が​彼ら​の​父​と​なり、彼ら​の​行く末​は​悲惨な​もの​と​なる。そして、すべて​の​天​が、まことに​わたし​の​手​で​造られた​すべて​の​もの​が、彼ら​の​ため​に​泣く​で​あろう。それゆえ、これら​が​苦しむ​の​を​見て、どうして​天​が​泣かない​と​いう​こと​が​あろう​か。

しかし​見よ、あなた​が​その​目で​見て​いる​これら​の​者​は、洪水​の​中で​滅びる​で​あろう。見よ、わたし​は​彼ら​を​締め出す。わたし​は​彼ら​の​ため​に​獄​を​用意して​いる。

また、わたし​の​選んだ​者が​わたし​の​前​で​嘆願した。それゆえ、彼​は​彼ら​の​罪​の​ため​に​苦しみ​を​受ける。わたし​の​選んだ​者が​わたし​の​もと​に​帰る​日​に​彼ら​が​悔い改める​なら​ば、その​日まで、彼ら​は​苦しみ​の​中​に​いる​で​あろう。

この​ゆえ​に、天と、わたし​の​手​で​造られた​すべて​の​もの​は​泣く​の​で​ある。」

そして、主​は​エノク​に​語り、人​の​子ら​の​すべて​の​行い​を​エノク​に​告げられた。そこで​エノク​は​それ​を​知り、彼ら​の​悪事と​惨め​な​状態​を​見て​泣き、その​両腕を​伸べた。すると、彼​の​心​は​永遠​の​よう​に​膨れ​広がり、その​胸​は​悲しみ​に​打たれた。そして、永遠​なる​もの​すべて​が​揺れ​動いた。

エノク​は​また、ノア​と​その​家族​を​見た。ノア​の​すべて​の​息子たち​の​子孫​が​現世の​救い​を​得る​の​を、彼​は​見た。

エノク​は​ノア​が​箱船​を​造る​の​を​見た。また、主が​それ​を​見て​ほほえみ、御手​の​中​に​それ​を​保たれる​の​を、エノク​は​見た。しかし、悪人の​残り​の​者​に​は​洪水​が​押し寄せ、彼ら​を​のみ​込んで​しまった。

​エノク​は​これ​を​みる​と、心​に​苦しみ​を​覚え、その​兄弟たち​の​ため​に​泣いて、天に​向かって、「わたし​は​慰められる​の​を​拒み​ます」と​言った。しかし、主​は​エノク​に​言われた。「心を​高めて​喜び、そして​見なさい。」

そして、エノク​は​見た。すると、ノア​から​始まり、地の​すべて​の​氏族​が​見えた。そこで、彼​は​主に​叫んで​言った。「いつ​主の​日が​来る​の​でしょう​か。いつ​義なる​御方​の​血が​流されて、嘆き​悲しむ​すべて​の​者​が​聖められ、永遠の​命​を​受けられる​よう​に​なる​の​でしょう​か。」

​主は​言われた。「それ​は​時​の​中間、悪事​と​報復​の​時代​で​ある。」

見よ、エノク​は、人の​子が​まことに​肉体​を​取って​来られる​日を​見た。そして、彼​は​心​から​喜んで​言った。「義なる​御方が​上げられる。小羊​は​世の​初め​から​ほふられて​いる。信仰​に​よって、わたし​は​御父​の​懐に​おり、まことに、シオン​は​わたし​と​ともに​ある。」

それから、エノク​は​地を​見た。すると、地の​中​から​声​が​聞こえた。「災い​だ。人々​の​母​で​ある​わたし​は、災い​だ。わたし​の​子供たち​の​悪事の​ゆえ​に、わたし​は​苦しみ、疲れて​いる。わたし​は​いつ​安息を​得て、わたし​より​出た​汚れ​から​清められる​の​か。わたし​の​創造主​は​いつ​わたし​を​聖めて​くださり、わたし​が​安息​を​得て、義が​しばらく​の​間​わたし​の​面​に​ある​よう​に​して​くださる​の​か。」

​エノク​は​地が​嘆き​悲しむ​の​を​聞いた​とき、泣いて、主​に​叫んで​言った。「おお、主​よ、あなた​は​地に​哀れみ​を​かけられない​の​です​か。あなた​は​ノア​の​子孫を​祝福なさらない​の​です​か。」

エノク​は​主​に​叫び​続けて​言った。「おお、主​よ、地が​二度と​洪水​で​覆われる​こと​の​ない​よう​に、ノア​と​その​子孫​を​憐れんで​くださる​よう、わたし​は​あなた​の​独り子、すなわち​イエス・​キリスト​の​御名​に​よって​願い​求め​ます。」

そこで、主​は​それ​に​応じない​で​は​いられなかった。そして、主​は​エノク​に​聖約​し、洪水​を​とどめる​こと​と、ノア​の​子孫​に​呼びかける​こと​を​彼に​誓って​約束​された。

そして、主​は、大地の​ある​かぎり、彼​の​子孫の​残り​の​者が​いつでも​すべて​の​民族​の​中に​見いだされる​と​いう​不変​の​定め​を​出された。

そして、主は​言われた。「子孫​から​メシヤ​が​出る​者​は、幸い​で​ある。彼​は、『わたし​は​メシヤ​で​あり、シオン​の​王​で​あり、永遠​の​よう​に​広い​天​の​岩​で​ある。だれでも​門​を​入り、わたし​に​よって​登る​者は、決して​落ちる​こと​が​ない。それゆえ、わたし​が​語った​者たち​は、幸い​で​ある。彼ら​は​永遠​の​喜び​の​歌を​歌い​ながら​来る​から​で​ある』​と​言う。」

さらに、エノク​は​主​に​叫んで​言った。「人​の​子が​肉体を​取って​来られる​とき、地は​安息​を​得る​の​でしょう​か。どうか、これら​の​こと​を​わたし​に​お​示し​ください。」

すると、主は​エノク​に、「見なさい」と​言われた。そこで、彼​が​眺める​と、人​の​習わし​に​従って​人の​子が​十字架​に​上げられる​の​が​見えた。

また、彼は​大きな​声を​聞いた。天が​覆われ、神が​創造​された​すべて​の​もの​が​嘆き​悲しみ、地が​うめき、もろもろ​の​岩が​裂けた。また、聖徒たち​が​よみがえって、人の​子の​右に​おいて​栄光の​冠​を​受うけた。

獄​に​いた​霊​たち​の​多く​が​出て​来て、神の​右に​立った。そして、残り​の​者は、大いなる​日の​裁き​まで​暗闇の​鎖に​つながれて​いた。

そこで​再び、エノク​は​泣き、主に​叫んで​言った。「地は​いつ​安息を​得る​の​でしょう​か。」

すると​エノク​は、人の​子が​御父の​もと​に​昇って​行かれる​の​を​見た。そこで、彼は​主​に​呼びかけて​言った。「あなた​は​再び​地上に​来られない​の​でしょう​か。あなた​は​神​で​あられ、わたし​は​あなた​を​知って​おり、あなた​は​わたし​に​誓い​を​なし、あなた​の​独り子の​名に​よって​尋ねる​よう​に​わたし​に​命じられ​ました。あなた​は​わたし​を​造り、あなた​の​御​座に​至る​権利を、わたし​自身に​よらず、あなた​御自身の​恵み​に​よって​わたし​に​与えて​ください​ました。それで​わたし​は、あなた​が​再び​地上​に​来られる​か​どう​か​お​尋ね​する​の​です。」

すると、主​は​エノク​に​言われた。「わたし​が​生きて​いる​よう​に​確か​に、わたし​は​終わり​の​時に、すなわち​悪事と​報復の​時代に​来て、わたし​が​ノア​の​子孫​に​関して​あなた​に​立てた​誓い​を​果たそう。

地が​安息を​得る​日が​来る。しかし、その​日の​前に、天は​暗く​なり、暗黒の​幕が​地を​覆う​で​あろう。天が​震え、地も​震える​で​あろう。そして、ひどい​艱難​が​人の​子ら​の​中に​ある​が、わたし​は​自分の​民を​守ろう。

また、わたし​は​天​から​義を​下そう。また、地から​真理を​出して、わたし​の​独り子​と、死者​の​中から​の​独り子​の​復活と、また​すべて​の​人​の​復活​に​ついて​証​しよう。そして、わたし​は​義​と​真理が​洪水​の​ごとく​に​地を​満たす​よう​に​し、わたし​が​備える​場所、すなわち​聖​なる​都​に​地​の​四方​から​わたし​の​選民を​集めよう。それ​は、わたし​の​民​が​その​腰​に​帯を​締め、わたし​の​来臨の​時を​待ち望める​よう​に​する​ため​で​ある。わたし​の​幕屋は​そこ​に​あり、そこ​は​シオン、すなわち​新エルサレム​と​呼ばれる​で​あろう。」

また、主は​エノク​に​言われた。「その​とき、あなた​と​あなた​の​町​の​すべて​の​者は​そこ​で​彼ら​に​会い、わたしたち​は​彼ら​を​懐に​迎え​入れ、彼ら​は​わたしたち​を​見る​で​あろう。そして、わたしたち​は​彼ら​の​首を​抱き、彼ら​は​わたしたち​の​首を​抱いて、わたしたち​は​互いに​口づけ​する​で​あろう。

わたし​の​住まい​は​そこ​に​ある。それ​は、わたし​が​造った​すべて​の​創造物の​中から​出て​来る​シオン​で​ある。そして、千​年​の​間、地は​安息​を​得る​で​あろう。」

それから​エノク​は、人の​子​が​千​年​の​間地上​で​義の​うち​に​住む​ため​に、終わり​の​時​に​来られる​日​を​見みた。

しかし、その​日の​前に​ひどい​艱難​が​悪人の​中に​ある​の​を、彼​は​見た。彼​は​また​海も​見た​が、それ​は​荒れて​いた。そして、人々​は​気落ち​して、悪人​に​下る​全能​の​神の​裁き​を​恐れ​ながら​待って​いた。

主​は​エノク​に、まことに​世の​終わり​に​至る​まで​すべて​の​こと​を​示された。そして、彼​は​義人​の​日、彼ら​の​贖い​の​時を​見て、喜び​に​満たされた。

エノク​の​生涯に​おける​シオン​の​時代​は、合わせて​三百六十五​年​で​あった。

エノク​と​その​すべて​の​民​は​神と​ともに​歩み、彼は​シオン​の​中に​住んだ。それから、シオン​は​なくなった。神​が​御自身の​懐に​それ​を​迎え​入れられた​から​で​ある。その​こと​から、「シオン​は​消えうせた」と​いう​言葉​が​広まった。

(『モーセ書』第6章21節、26節〜68節、第7章1節〜69節)

以上がモーセ書から引用したエノクの記録です。

古代の預言者の中には、主によってこの世の終わりまでを見せられた者が複数いますが、エノクもまたそのひとりです。

シオンの帰還

さて、モーセ書にありますように、エノクが導き、主によって神の懐に上げられた町がシオンです。

主の再臨に先立って、エノクのシオンは天から戻ってきます。

新約聖書にも新エルサレムについて記述されている部分があります。

黙示録から引用します。

『わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と地とは消え去り、海もなくなってしまった。

また、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。

最後の七つの災害が満ちている七つの鉢を持っていた七人の御使のひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。子羊の妻なる花嫁を見せよう」。

この御使は、 わたしを御霊に感じたまま、大きな高い山に連れて行き、聖都エルサレムが、神の栄光のうちに、神のみもとを出て天から下って来るのを見せてくれた。』

(『ヨハネの黙示録』第21章1節、2節、9節、10節)

冒頭で申し上げましたように、わたしたち末日聖徒イエス・キリスト教会の会員はシオンを築くよう勧告されていますが、ここでいう『シオン』はエノクの町とはまったく別物です。

わたしたちの教会では世界中に数多くの礼拝堂を建てています。

その地元に住む会員はそれぞれの礼拝堂に集い、聖餐式をはじめとするいくつかの儀式を執行します。

わたしたちはそれぞれの住む地で『心の清い人々が住む所』という意味でのシオンを築くように勧告されているのです。

新エルサレム

主の再臨の前に天から降ってくるエノクのシオンを指して『新エルサレム』と呼ぶことがあります。

これは現在イスラエルという国に存在しているエルサレムとは別物です。

あくまでも『新』エルサレムです。

ですが、現在イスラエルにあるエルサレムも大きな戦ののち破壊され、主のために再建されることが預言されています。

モルモン書に収められている『エテル書』から引用します。

『またこの地(注釈:現在のアメリカ大陸)は新エルサレムが天から降って来る場所であり、主の聖所であると、彼は告げた。

見よ、エテルはキリストの時代を目にし、またこの地の新エルサレムについて述べた。

彼はイスラエルの家と、リーハイが出て来るエルサレムについても述べた。エルサレムは破壊された後、主のために聖なる都として再び築かれる。したがって、それは昔存在していたので、新しいエルサレムではあり得ないが、それは再び築かれて、主の聖なる都となる。それはイスラエルの家のために築かれる。

また新エルサレムは、ヨセフの子孫の残りの者のためにこの地に築かれる。このことについてはすでに予型があった。

ヨセフは自分の父をエジプトの地に導いたので、父はそこで死んだ。そして主は、ヨセフの父が滅びないように、彼に憐れみをかけられたと同様に、ヨセフの子孫が滅びないように、彼らに憐れみをかけ、ヨセフの子孫の残りの者をエルサレムの地から導き出された。

ヨセフの家の残りの者は将来この地で増えて、この地は彼らの受け継ぎの地となる。そして、彼らは主のために昔のエルサレムのような聖なる都を築く。また、彼らはもはや乱されることはなく、終わりが来て大地が過ぎ去る。

しかも、新しい天と新しい地がある。その天は以前のものに似ている。ただ以前のものは過ぎ去り、すべてのものが新しくなるだけである。

その後、新エルサレムが成る。そこに住む者たちは幸いである。彼らの衣は子羊の血によって白いからである。彼らは、イスラエルの家に属するヨセフの子孫の残りの者の中に数えられる者たちである。

またそのときに、昔のエルサレムも成る。そこに住む者たちは幸いである。彼らは、子羊の血によって洗われているからである。彼らは散らされた後に、地の四方および北の地方から集められた者たちであり、神が彼らの先祖アブラハムと交わされた聖約を果たされるときに、それにあずかる者たちである。』

(『エテル書』第13章3節〜11節)

引用した部分の冒頭にある『新エルサレム』はエノクの町シオンを、『この地の新エルサレム』はわたしたち末日聖徒たちが築き上げる町を指しています。

さらに『リーハイが出てくるエルサレム』は現在イスラエルにあるエルサレムを指します。

天から降ってくるエノクのシオンと、アメリカ大陸に築かれる新エルサレムはひとつとなることが預言されていますが、具体的にどのような形をとってひとつとなるのかは想像することしかできません。

ただ、主が来られた後に『新しい天と新しい地』になったとき、再建されたエルサレムと新エルサレムの二つの町が地上の首府となります。

『それは、新エルサレム、平和の地、避け所の都、いと高き神の聖徒のための安全の地と呼ばれるであろう。

そして、主の栄光がそこにある。また、主の恐怖もそこにあるので、悪人はそこに来ようとしない。そこはシオンと呼ばれる。

そして、悪人の中にいて、隣人に対して自分の剣を取らないものは皆、安全のために必ずシオンに逃れて来なければならない。』

(『教義と聖約第45章66節〜68節)

さいごに

聖なる都、また心の清い人々が住む所としてのシオンは、世界中で築き上げられるでしょう。

そして来るべき福千年には『シオン』と呼ばれる新エルサレムがアメリカ大陸に築かれ、心の正しい人々はそこで主の栄光を目にすることになります。

今回はここまでにしましょう。

聴いてくださってありがとうございました。

またお会いしましょう。

おやすみなさい。

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この記事を書いた人

はじめまして。プロフィールを見てくださってありがとうございます。
少し自己紹介をさせてください。
よもやま かいといいます。香川県出身です。
キリストを信じる信仰を持つクリスチャンで、末日聖徒イエス・キリスト教会の会員です。
絵を描くことが好きで、筆記具を集めたりしてます。

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